2020年11月3 日、アメリカで大統領選挙が行われました。
今回の選挙は、共和党のドナルド・トランプ大統領(74)が再選を目指す一方、民主党のジョー・バイデン前副大統領(77)が対抗馬として出馬したことで、今までで一番の注目を集めたのではないでしょうか。
アメリカの選挙制度をざっとおさらい
アメリカの大統領選が火曜日に行われる本当の理由
アメリカの大統領選は4年ごとに行われ、11月の第1月曜日のあとの火曜日に実施されます。
この日にちは法律で決められているのですが、なぜ火曜日なのか疑問に思いませんか?
それは、この法律ができた当時、国民の多くは農業に従事するキリスト教徒でした。
日曜日は教会に行き礼拝する人が大勢いて、春から秋の農繁期も投票に行くことはできませんでした。
しかもそのころには車もまだない時代ですので、投票所に行くにも1日がかりだったり、途中で宿泊しなければならなかったりした人も大勢いたのです。
そのため、投票日が火曜日と法律で決まりました。
日本とはここが違う! 選挙人制度とは?
アメリカの選挙では【選挙人制度】という方式を採用しています。
選挙人制度とは、日本のような一般投票による直接選挙制ではなく、大統領を選ぶ任を負う選挙人への間接選挙制を採用しています。
選挙人の数は全部で538人で、各州の人口に基づいて割り当てられています。
各州の選挙人数は、各州の下院議員と各州の上院議員(どの州も2人)の合計と等しいのです!
- ・人口が最も多いカリフォルニア州の選挙人の数は55人
- ・選挙人数が少ない州の選挙人数は3人
となっています。
各州の選挙人数一覧はこちら
当選者はこうやって決まる!
大統領に当選するためには538人のうち、270人以上の選挙人を獲得する必要があります。
各州の有権者たちは、選挙人を選出するために投票をするわけですが、この一般投票では最も表を集めた候補者がその州すべての票を総どりする「勝者総取り方式」を採用しています。
つまり、人口が最も多いカリフォルニア州などでは選挙人が55人いるわけですが、候補者同士の投票差が1票だったとしても55人の選挙人すべてを失うことになるのです。
※なお、ネブラスカ州とメーン州は投票数によって選挙人を分割できるようになっています
選挙の行方を左右する!超重要なスイングステートとは
実は、各州には歴史的な背景から共和党が強い州と民主党が強い州とがあります。
そのため、各候補者はどちらの党の支持をするか未だ定まっていない州での選挙活動に力を入れることになります。
中でも重要な州は「激戦州」または「スイングステート(変動する州)」と呼ばれ、選挙人数が多いフロリダ州(29人)、ペンシルベニア州(20人)、オハイオ州(18人)やミシガン州(16人)などがこれにあたります。
今回のトランプVSバイデン戦も最後まで注目されたのはスイングステートでした。
各州の特徴を見ていきましょう。
フロリダ州
スイングステートの中で最も選挙人の数が多く(29名)選挙結果が毎回どちらに転ぶか分からない州として広く知られており、「スイングステート」の中でも最も影響力が大きい州です。
今回の投票結果は4%の得票差でトランプ氏(共和党)が勝利しました。
ペンシルベニア州
ペンシルベニア州はもともと、民主党の支持基盤でした。
しかし、2016年の大統領選でトランプ氏を支持したことで大きな注目を浴びました。
そのため今回の大統領選では、もともとの支持基盤である民主党を支持するのか、それとも前回同様トランプ氏を支持するのか分からないということからスイングステートとして仲間入りすることになったのです。
そして投開票後の結果は1.2%の差でバイデン氏(民主党)の軍配があがりました。
オハイオ州
「オハイオ州を制する者が大統領選を制す」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
実は、1964年以降の大統領選では、オハイオ州で勝利した候補者がそのまま大統領になっています。
そのため同州の投票結果は非常に注目を集めています。
今回の結果は8.1%差でトランプ氏(共和党)が勝利しています。
この記事を作成している2020年12月時点での結果はバイデン氏の勝利ですので、このジンクスは崩れ去ったことになります。
しかし、現在トランプ氏が法廷闘争含めいろいろ動いていますから、もし結果が覆るようなことになれば、「オハイオ州を制する者が大統領選を制す」という言葉の重みが一気に増すことになりそうですね。
ミシガン州
ミシガン州は地域によって支持政党が異なっていることが一番の特徴です。
昔から、郊外や田園部では共和党の支持基盤が強く、デトロイトなどの都市部や労働者階級が住むエリアなどでは民主党の支持基盤が強い傾向にあります。
このように、エリアによって明確に支持政党が異なって混在しているため、ミシガン州全体でも共和党と民主党が拮抗しがちです。
典型的な「スイングステート」ということが出来ますね。
そんな同州の結果ですが、2.6%差でバイデン氏(民主党)の勝利となっています。
まとめ
こうしてみると、激戦州でも共和党と民主党の得票数は拮抗しており、非常に難しい大統領選だったことが見受けられます。
選挙人総数538人の各政党の得票数は
- ・民主党 306人
- ・共和党 232人
となっており、バイデン氏の勝利となっています。
今回のアメリカ大統領選は今まで以上の注目を集めていました。
投票率も過去最高を更新し、非常に興味深い投票結果となりましたよね。
しかし、トランプ氏はこの選挙に不正があったと主張しています。
もし本当に不正が行われていたのであれば、民主主義の根幹を揺るがす大事件です。
【真実はいつも一つ】です。
情報が錯綜する現代で、良質な情報を抽出しつつ自分の信じる道を進んでいけるようにしたいですね。
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