ファイザーが実施したスピンオフのメリットとデメリット!

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ファイザーによるスピンオフが実行され、2020年11月17日(火)10:00 ~ 2020年11月20日(金)10:00(日本時間)までの間同社の売買停止期間が設定されました!

ファイザーといえば、開発中の新型コロナウイルスワクチンの臨床試験において、「90%を超える予防効果がある」とする結果を発表し、大きな注目を集めていますよね。

そんな中実行されたのがファイザーによるアップジョン事業のスピンオフ。

今回は、医薬品売上高世界第2位を誇るファイザーが実施したスピンオフについて解説していきたいと思います。(売上高世界第1位はスイス・ロシュ社)

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スピンオフとは?

そもそもスピンオフとはなんなのか、簡単に説明したいと思います。

スピンオフとは、連結子会社を親会社たる本体から切り離し、資本関係のない独立した会社にする仕組みのことをいいます。

図で説明すると次のようになります。

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会社分割前の各子会社(A,B,C事業)の全株式は親会社株主が持っていましたがスピンオフが実行されると、C事業が新たに事業を始め親会社株と、C事業株が親会社株主に帰属されます。

独立した子会社(C事業)は、スピンオフを実施する前に新規上場申請をして証券取引所に上場しなければなりません。

これによって子会社の株主が株式を売却する機会を確保します。
親会社株主は、スピンオフによって親会社と、独立した子会社の2銘柄を保有することになります。

スピンオフによるメリットは?

ではなぜ、今回ファイザーがスピンオフをしたのか・・・

そのメリットについて考察したいと思います。

スピンオフによるメリットは主に下記の5つです。

  1. 企業価値が向上し、社員のモチベーションも上がって優秀な人材を確保しやすくなる。
  2. それぞれの会社は中核事業に専念しやすくなり、投資家も中核事業に絞った投資がしやすくなる。
  3. 柔軟かつ迅速な意思決定がしやすくなる。
  4. 自由な競争が促進される。
  5. 税制面で有利になる

どうしてスピンオフをすると企業価値が向上したり、中核事業に専念しやすくなったりするのでしょうか。

事業を切り出す方法としては、主に

①その事業を他社に売却する方法と 

スピンオフ制度による方法

の2種類があります。

事業を他社に売却する方法の場合、売却で得た対価を新規事業に投資することが可能です。

スピンオフ制度による方法の場合、子会社(C事業)を売却した対価(C事業株)は株主にそのまま交付され、スピンオフを実施した企業(親会社)は売却代金が得られません。

また、株主はC事業株が得られるといっても、元々親会社の一部であったC事業が分離しただけであり、いわば親会社株が2分割にされたにすぎません。

しかしこのスピンオフを実施したことによって、親会社はC事業を切り出し中核事業に専念できます。またC事業側も、経営の独立により迅速な意思決定が可能になるし、自由な競争が促進されます。

それによって上手くいけば親会社であるファイザーと、C事業であるアップジョン事業の両方の成長が見込めるのです。

スピンオフによるデメリットは?

では次にスピンオフによるデメリットを見てみましょう。
デメリットは主に下記の2つとなります。

  1. ファイザーの収益性が落ちて企業価値が下がる可能性もある。
  2. 収益性・成長性が下落するのを見込んで株が売られる。

つまり、スピンオフをすることによる一番のデメリットは、事業を切りしたことによる企業価値の低下です!

今までアップジョン事業部門での売り上げと利益はファイザーに帰属していましたが、分離によってその部分の収益が丸々なくなるためファイザーの収益性は低下します。

それによって収益性・成長性が見込めなくなったと判断した投資家たちから株を売られて株価が下がる可能性もあるのです。

ファイザーの今後の展開について

ファイザーが新型コロナウイルスのワクチン開発の臨床試験において、「90%を超える予防効果がある」とする結果を発表した後のこのタイミングでのスピンオフ。

このスピンオフについて、様々な憶測がなされていますが私は悲観的には見ていません。

なぜならアップジョン社をスピンオフさせると同時に、マイラン社と合併することも発表しているからです。

マイラン社とは、アメリカ合衆国ペンシルベニア州に本拠を置く製薬会社です。

このマイラン社との合併を行い、新会社「バイアトリス(英文名称:Viatris Inc)」となり、新会社バイアトリスの株式が、ファイザー社株主に割当られることを発表しました。

バイアトリス(ビアトリス)について分かりやすく解説!キーワードはファイザーとマイラン

このことから、今回のスピンオフは”それぞれの会社が中核事業に専念しやすくし、柔軟かつ迅速な意思決定を行うための決定”ということになります。

新型コロナウイルスのワクチン開発が今後どのような展開をしていくかはわかりませんが、ファイザーが今回スピンオフを実施したからといって、必ずしも悲観的になる必要はないと思います。

今後の同社の推移を注視していきたいですね。

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